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南米の植林事情

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1)ブラジル連邦共和国   Federative Republic of Brazil

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図1 ブラジルの紙・パルプ会社による植林の推移 4)

国土面積は8億4,600万㌶(日本の国土面積の約23倍)、人口1億7,900万人、10カ国に囲まれている。2005年時点の森林面積は4億7,769万8千㌶(国土面積の56%)、植林面積は538万4千㌶で、森林面積の1.1%に過ぎない1)。アマゾン河流域の熱帯多雨林(年平均降水量2,000mm)は約7億5千万㌶といわれ、その内の63%がブラジルにある3)。なお、1970年代以降、急速な農業開発と牧場造成が行われ、過去30年間に日本の国土面積の1.5倍の面積の森林が消失したとみられている1),2)。東部の大西洋に面した亜熱帯地域(年平均降水量1,400~1,500mm)も以前熱帯常緑樹に覆われていたが、現在は7%程度残っている程度である。南回帰線から以南の南部地域(年平均降水量1,500mm)にはパラナマツ(Araucaria angustifolia)、北東部の年間降水量が780mm程度の乾燥地帯は有刺林・潅木林、中央ブラジルの年間降水量が1,600mmのセラードとパンタナル地域(疎林地帯、湿地)等変化に富んでいる。
同国では1965年までに47万㌶(80%がユーカリ)サンパウロ州に植林されたが、さらに同年に新森林法が制定され、アマゾン河流域の原始林開発を禁止するとともに、植林に対する優遇措置、すなわち所得税の一部を植林に使えるようにすると同時に、植林地からの木材販売収入を非課税とする等の措置がとられた。それ以来、北東部のバイア州、南部のエスピリト・サント州、ミナス・ジェライス州、パラナ州、サンタ・カタリナ州、リオ・グランデ・ド・スール州等での植林が進んだ。またこれらの植林助成策により、大規模な植林を行う企業が増加して紙・パルプ産業などが急成長、1980年代までは紙・パルプの輸入国であったが、その後は輸出国になるまでに至っている。図1は、パルプ会社が植林した面積推移を示している 4)。南米でのパルプ生産は、製紙会社所有地での植林、伐採、パルプ製造、製紙まで一連の工程で行われることが多く、植林が積極的に行こなわれている。

M. H. Leonel(2005) 4),5)によると、植林面積は550万㌶で、その内マツ類が190万㌶、ユーカリ類が330万㌶、その他30万㌶の割合で植林され、マツとユーカリの2樹種で全植林の95%を占めている。また前者は主として製材用、後者はパルプ用である。その他の樹種としては、Acacia、Araucaria、Parica、Teak (Tectona grandis、約14,000㌶)、Populus等である  5)
2004年の世界の木材パルプ生産量は1億8,973万㌧であるが、地域的には北米42%、欧州26%、アジア21%、南米8%、その他3%の割合になっている1)。漂白広葉樹クラフト・

パルプ(BHKP)の生産コスト(運賃込み)の比較では、ユーカ リ植林木を原料としているブラジル産が世界で最も安価であるとされている。ユーカリがパルプ用として用いられる理由は、成長速度が大きく、植林後約7年程度で伐採でき、比較的枝が少なく、真直ぐに成長し、植栽間隔を詰めての植林が可能、集運材が容易である等である。BHKPに占めるユーカリの比率は1980年の29%から2005年の43%までに増加している。ブラジル最大手のAracruz社(約43万㌶の土地を所有し、26万㌶に植林済。パルプ年産量は310万㌧、2015年には短繊維パルプを700万㌧生産することを目標としている)の場合、生産のほとんどを植林木を原料としている。

表2 ブラジルのBEKP(百万トン)

生産量 輸出量
2000年
5.1
2.9
2001年
5.3
3.2
2002年
5.8
3.4
2003年
6.8
4.3
2004年
7.3
4.8
2005年
10.4
5.3
2006年
11.2
6.2
2007年
11.9
6.6
出典:BRACELPA  4)
表3 製品に占める人工林材と天然林材
製 品 単位 生産量
(×千)
原材料



人工林材 天然林材
パルプ トン
9,000
100%

紙(300万トンの古紙を含む) トン
7,900
100%

木炭 m3
30,000
73%
27%
製材 m3
22,800
35%
65%
合板 m3
2,700
65%
35%
木質パネル(PB,OSB,FB) m3
3,300
100%

モールディング等 m3
800
63%
37%
ドアー
6,300
70%
30%
その他 m3
450
100%

出典:BRACELPA  4


 

Cenibra社(Celulose Nipo-Brasileira S.A.)は、1973年にリオドセ社 (51%)と日伯紙パルプ資源 (JBP)(49%)で設立し、77年から操業開始したが、2001年に100%日本側の所有となった。社有林地は約23万㌶で、この内約12万㌶にユーカリ(E.grandis) を植林済である7)。当社のパルプは世界中から高品質と評価を受け、欧州、北米、日本を含むアジアを中心に輸出している。2007年のパルプ生産能力は120万㌧である。ヴォトランチン(VCP   出典:BRACELPA4)
S.A.)社も植林から製紙までの総合メーカーで、パルプ生産量の4割を自社消費してコート紙やアンコート紙を製造、6割を国際市場向けとしている。
米国のWeyerhaeuser社は2004年にAracruz社とのジョイントベンチャーでAracruz Proutos de Madeira S.A.(APM)を設立、ユーカリの製材工場を経営している。この工場はもともとAracruz社が1995年に設立したが、現在は2/3がWhyerhaeuser社の所有となっている。Aracruz社の2万㌶のユーカリ植林からの丸太供給があり、また、Aracruz社はEspirito Santo、Bahia、Minas Gerais及びRio Grande do Sul州で森林経営を行い、約27万9千㌶のユーカリ植林及び約15万4千㌶の天然林を有している。